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「M31 を観察しよう!」指導の手引き

観察の手引き PDF

背景

 金星や木星、月、太陽、星座を形作る星は、全て、直径約10 万光年の私たちの銀河系の中にある天体です。(※1 光年=光が1 年で進む距離。約9 兆5000 億km。)銀河系は1000 億個以上の恒星(太陽のように、自分で光る星のこと)などからできており、図1のように円盤のような形をおり、太陽系はその端の方に位置しています。


ところが、M31 は私たちの銀河系の外側にある天体で、地球からの距離は約230 万光年もあります。M31 はアンドロメダ銀河とも呼ばれており、名前から分かるように、これは、単体の星ではなく、私たちの銀河系と同じように、1000 億個以上もの星が集まってできている銀河です。
 M31 が銀河系の外にある天体だと分かったのは約80 年前のことで、それまでは、私たちの銀河系が全宇宙なのか、それとも、現在考えられているように、宇宙は銀河系の外にも広がっているのか、分かっていませんでした。
 1920 年にHarlow Shapley(ハーロー・シャプレー)とHeber Doust Curtis(ヒーバー・ダウスト・カーチス)がM31 の距離をめぐって大論争を起こしました。シャプレーはM31 は私たちの銀河系の中にあり星雲であるという説を立て、一方カーチスは、M31 は私たちの銀河系の外にある天体で、別の銀河である、と主張しました。この論争は、その後、Edwin Powell Hubble(エドウィン・パウエル・ハッブル)によって、決着がつけられました。ハッブルはM31 の中にある「セファイド変光星」の観測から、M31 の距離を導き出したのです。ハッブルは、大きく分けて、以下の2つのことを用いて距離を求めました。

(1) セファイド変光星の性質
セファイド変光星は、図2のように、明るさが周期的に、明るくなったり暗くなったりします。さらに、図3のように、周期と明るさが対応しており、周期が長いほど、明るいという性質をもっています。つまり、周期が分かれば、その星の本当の明るさが分かる、というわけです。


(2) 距離と明るさの関係
図4は、距離が2倍で明るさが4分の1、距離が3倍で明るさが9分の1になることを示しています。つまり、明るさは距離の2乗に反比例する、ということです。このことを利用すれば、その星の本当の明るさと見た目の明るさと比較から、距離が分かります。


ハッブルは、この2つの性質をつかって、M31の距離を導きだしました。つまり・・・M31の「セファイド変光星」の周期を測定
 →周期から、その星の本当の明るさを求めた。
 →本当の明るさと、見た目の明るさの比較から距離を出した。
 こうして、ハッブルはM31と地球との距離を約90万光年と導き出しました。(※今では約230万光年とされています)これは、当時、シャプレーによって予想されていた銀河系の大きさの約3倍で、M31が銀河
系の外の天体である、と主張するのに十分な距離でした。つまり、M31は銀河系の外の天体であると主張した、カーチスが正しかったということです。
 こうした経緯から、宇宙は私たちの銀河系の外にも広がっている、広大なものである、ということが明らかになりました。

ねらい

この活動のねらいは、実際にM31 を観察し、自分の観察結果からM31 のだいたいの大きさを計算することから、宇宙が私たちの銀河系の外にも広がる広大なものであることを学んでもらうことです。

観察のコツ

M31 はおよそ4 等級です。市街地や、月明かりのある日は、M31 を見つけることができません。少なくとも4 等星が見える場所でないと見えません。なるべく、周りに明かりのない場所で、晴れた月明かりのない晩に観察を行いましょう。また、しっかり固定できる三脚を使用することも重要です。視野にM31 が入ったら、すぐに望遠鏡を固定し、その後、ピントを合わせましょう。また、昼間の間に、遠くの景色を利用して、練習をしておくことも大切です。

M31(アンドロメダ銀河)がどこにあるのかは、星座早見盤や、
国立天文台のホームページの「ほしぞら情報」http://www.nao.ac.jp/hoshizora/index.html などを見ると分かります。

活動の流れ

(ア) 観察、スケッチ

 観察、スケッチは、観察スケッチ用のプリントを使用して1回行いましょう。大きく詳しく描く欄と、視野に対する大きさを描く欄の2つがあります。視野に対する大きさは、後で、M31 の大きさを計算するときに使います。

 また、スケッチ欄には倍率を書く欄がありますが、

(イ)気づいたこと、疑問に思ったことを記入

 スケッチを通じ、気づいたこと、疑問点をスケッチ欄の下に記入します。

(ウ)科学史の解説

 M31 の地球からの距離に関する科学史を解説します。銀河系の概念を理解していない場合は、銀河系についても解説する必要があります。

(エ)M31 の視野角を求める

 スケッチを元に、M31 の視野角を求めます。

(オ)M31 の実際の大きさを求める

 視野角から、扇形の弧を求める要領で、だいたいの大きさを計算します。 

(カ)銀河系と比較する

 M31 を銀河系と比較することによって、M31 が実は銀河であり、中心のバルジのみが見えていたことに気づいてもらいましょう。

(キ)今日分かったこと、更に知りたいことを書く

 最後に、まとめとして、「M31 は銀河系の外にある天体で、私たちの銀河系と同じぐらいの大きさの銀河である」などの分かったことを書きましょう。さらに、今後、調べてみたいこと等も記入させます。
支援者は、その内容を補足・支援する形で、子どもたちが今後も関心を持って活動できるよう、励ますようにしましょう。

注意事項  

 この活動は、児童・生徒自ら、M31 の大きさを計算し、銀河系と比較することから銀河であることに気付かせることを目指しています。そこで、もし、子どもたちがM31 が銀河であることを知らないのなら、そのことは伏せて実施するほうがよいでしょう。

      また、絶対に望遠鏡で太陽は見ないよう、注意してください